私はあの頃、すごく若かったです。
そして恋は弱肉強食だと思うタイプでした。
恋にはトキメキや緊張感が欠けてはいけないというタイプの人間で完全な肉食系なのです。
そんな私だから新入社員として働く私に優しく接してくれた課長に目を付けました。
彼は出世している割に年齢が若くて、大変有能な人だったのです。
それだけではなく周りの社員からも慕われていましたし、男性にも女性にも気軽に声をかけて仲良くするタイプでした。
完全に理想の人だったのです。
私は別に妻子持ちを狙っていたわけではありません。
私だって人並みに結婚は夢見ていたので、できれば独身男性が良かったです。
ただ好きになってしまった相手が偶然にも既婚者だったのです。
それだけであり、好きになった気持ちには何の落ち度もないと思って、こっちから課長を誘惑するようになったのです。
意外にも真面目な課長だったので、最初から簡単にそういう関係にはなりませんでしたね。
ちょっと胸元がはだけたような服を着たときも他の社員の視線を感じる中、課長は全然私に興味が無さそうでした。
それに子供自慢とか奥さん自慢を会社の社員の前でするのです。
ちょっと奥さんに嫉妬したし、こんなことを平気で言ってくる課長の態度に悔しくなりました。
私の気持ちに全然気づいてもらえないことで、余計に火が付きましたね。
絶対に振り向かせたいと思ったのです。
そんなわけで、私はいろいろと課長に仕掛けていきました。
まるで狩人のようだったとその当時の私の様子を見ていた友人は言います。
私は恋に生きると決めて、課長に本格的に興味を持ってもらえるように仕掛けていきました。
課長の奥さんの誕生日を利用したのです。
奥さんの誕生日プレゼントで悩んでいる課長に、「私が選ぶの手伝いましょうか」と声をかけて一緒に出かけました。
課長は完全に奥さんのことしか頭になかったようだけど、私はこの機会に絶対に彼を落として見せると思っていました。
そのお出かけ中に私は課長に色仕掛けで迫って、ホテルに誘いました。
課長は最初は驚いていたけど、ちょっとは下心が合ったんだと思います。
私の誘いに乗ってくれて、それでそういう仲になりました。
そうなってからはこっそりと社内でアイコンタクトをしたり、奥さんに内緒で不倫旅行したりしました。
罪悪感なんてなかったです。
本当にそのときは幸せで「奥さんに勝つ」というような気持ちで付き合い続けていました。
社内不倫で一番楽しいのは周りにバレないようにうまくやるこの緊張感です。
私はなんだかんだ言って、不倫に燃えるタイプみたいです。
課長は最初はすごくびくびくしていたけど、1年も経てば慣れてどんどん大胆になりました。
しかしその大胆さが仇となりましたね。
私はひょんなことから会社で不倫がバレて、自主退職しました。
世間ではやはり不倫は許されない行為だったようです。
不倫相手の課長は結局家族を手放せず私だけほぼクビという目に遭いました。
まあ自業自得かなと思って、受け入れて今は別の職場で働いています。
不倫は駄目な行為ですが、やはり燃えるなと今振り返っても思います。